泪月

〜君のいない世界〜

by.櫻

 

 

「壬生屋っ!後っ!」

「キャーーーーーー!!!」

生命反応でもあるモニターの画面上の青い点・・・が音もなく忽然と消えた。

「壬生屋機大破!通信途絶!・・生体反応・・・・な・・し???」

ドンッ!

瀬戸口はコンソールを拳で叩きつけた

 

 

「み・・・壬生屋っ!壬生屋っ!!!応答しろッ!!!・・・う・・嘘だろ?オイ・・・」

 

目の前が真っ暗になった・・・

壬生屋が死んだ?

そんな・・・誰か・・・嘘だと言ってくれ!!!

瀬戸口の身体から急速に力が抜けて視界が闇に閉ざされてゆく・・・

 

「たかちゃん!たかちゃん!しっかりしないとめーなのよ!たかちゃん!」

ののみの声が遠くで聞こえる

 

 

 

イヤだ・・・もう何も・・・何も・・考えられない・・もう・・・な人を失うのは沢山だ・・・

 

 

 

と、瀬戸口は突然何かに胸元を掴まれて殴られた。

ガッン・・・・どすん

俺は床に倒れ

「ぐっ・・」

口の中が切れて鉄の味が広がる・・・

瞬時に覚醒する意識。

「何をやっているッ!瀬戸口千翼長!しっかりしなさい!戦闘はまだ終わっていないのですよ!隊を全滅させる気ですかッ!」

 

 

「指令・・・」

善行はののみを振り返り

「ののみ君戦闘の情勢は?」

「ようちゃんがげんじゅうとこうせんちゅう。

あっちゃんとまいちゃんがみおちゃんのところにむかったの!

たかちゃん!みおちゃんはいきてるのよ!」

「壬生屋!!!」

 

 

その日。

戦闘は大敗だった・・・・

 

俺が壬生屋の元に駆けつけた時は・・・もう壬生屋は事切れる間際で・・・

「瀬戸口の阿呆っ!遅すぎるわ!未央ちゃんずっとアンタの亊呼んでたんよ!」

加藤はずっと壬生屋についていたのだろう瞳を赤くして涙ぐんでいた

「いいから壬生屋の状態は!?」

「もぅ・・・・」

萌が悲しげに顔を左右に振って顔を背ける

「未央ちゃん!未央ちゃん!瀬戸口が来たで!うううっ・・・」

加藤が壬生屋に声をかけると

うっすらと弱々しく瞳を開く壬生屋。

 

「み・・壬生屋・・・」

其所には今息をしているのが不思議な程重傷を負った壬生屋が横たわっていた・・・

全身血まみれで顔が青白い

もう・・・助からない・・・そう漠然と俺は理解してしまい途端に涙が溢れる

「瀬・・戸・口くん・・・」

壬生屋は必至に瀬戸口に触れようと手を上げようとするが手が上がらない

必至に壬生屋の手を握る瀬戸口

涙で視界がゆがむ

「な・・なんだ?壬生屋」

笑顔を作ろうとしても無理だ

どうしてこいつが死ななければならないんだ!?

「もう・・・わたくし・・の亊・・は・・忘れて・・・幸せに・・な・・って・・祇園・・」

そう言って涙を流すお前さんの顔を見た時衝撃が走った。

何故お前が俺の本当の真名を知っている?まさか・・・まさかお前は

うっすら微笑む壬生屋・・・俺に向けられた彼女の笑顔を見たのは・・・それが最初で最後だった。。。

過去の

シオネとダブル。

『わたくしの亊は忘れても良いですから・・幸せにおなりなさい・・・祇園・・・』

お前さんがシオネの転生体だったのか!?そんな・・・嘘だ・・・

「壬生屋が・・シオネ・・・・・そんな・・・そんな馬鹿な・・・」

誰か嘘だと言ってくれ!!!!!

 

 

 

 

俺は・・・お前さんが死ぬ間際になって・・・

自分の気持ちにようやく気がついたんだ。

 

壬生屋。お前さんに本当は惹かれていたって亊を・・・

今迄はお前さんのことは、俺につっかかってきてウザイとか思ってた。

嫌い・・・だと思っていた・・・そう思いたかった・・・

でも違ってた

惹かれるのが分かっていたから嫌らってたんだ

 

・・・お前さんのいない世界は・・・まるでモノトーンの世界だ。

世界にまるで色がない。

 

今でも思いだす色は・・・

それはお前さんの瞳の色でもある・・・魂の色。

強く気高い穢れを知らぬ碧い炎。

 

本当は・・・ずっと惹かれていた。

でも・・・認められなくて・・・

どうして今になって分かっちまったんだろう・・・

俺・・・

お前さんに何も伝える亊が出来なかったのに・・・

 

お前は死ぬ間際に俺に向かって・・・・・・・

忘れてくれって言ったけど。

それだけは無理だ。

お前さんを忘れるなんて出来ない。

 

お前さんのいない世界は・・・俺には地獄の様だよ。

こんな世界いっそ幻獣に滅ぼされてしまえばいい

 

でも・・・

お前さんがそんな世界を見たら悲しむから・・・

お前さんが守りたかった世界を俺が守るよ。

絢爛舞踏になって

この世を救ってやる

 

 

 

なぁ・・・

世界を平和にしたら・・・

俺もお前さんの元へ行くから。

1000年は長すぎた。

俺はもう待てない・・・。

この記憶を持って永遠を生きるのも

又新しい転生迄お前さんを待つのも

疲れた…し。寂しいんだ

もう・・・

耐えられない。

だから

いいだろう?

お前さんの元へ行っても。

お前さんは怒るだろうな・・・

だらしないって。

根性がないって。

でもな、

俺はお前さんがいないと駄目なんだ

又いつもみたいに追いかけまわしてくれよ壬生屋・・・

壬生屋・・・

お願いだから目を開けてくれ・・・

愛・・しているからッ・・・

ずっと・・ずっと・・

好き・・だったんだ・・・

 

壬生屋・・・

俺を置いていかないでくれッ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

初めて会った時・・・・

刻が止まった。

桜舞い散る尚絅高校の校門前で

長い髪を棚引かせてお前さんが佇んでいた。

 

壬生屋。おまえさんに会ってから・・・

俺は・・・

 

 

お前さんにもう一度でいいから会いたい

 

 

壬生屋。

俺はお前さんを嫌ってた訳じゃない。

 

お前さんがシオネの生まれ変わりだと認めたくなかった・・・

 

シオネ=アラダの魂という運命の引力に惹かれ、恋い焦がれ続ける祇園童子の俺の魂

 

それは抗えぬ・・・心地良い運命の呪縛

 

でも本当は・・・・

シオネの生まれ変わりであるお前さんをこの世界で又失うのが怖かったんだ・・・・

結局お前さんは又俺を残して逝っちまいやがった・・・

 

どうして・・・今迄分からなかったんだろう・・・

シオネに関係なく惹かれていた亊に・・・

お前さんが死んだ後で分かっても全く意味がないというのに・・・

今度もしもう一度巡り合えたなら

その手を二度と離さない・・・

俺の・・・女神・・・

 

未央・・・

 

end.

作品紹介・・・つか言い訳チック

ヘボ作12作目は・・・これも短いのですが(汗)瀬戸口を泣かせたくて書いた(笑)SSSです。実はこの話は以前書いた「雪の華」をループ物の3番目(C)とすればこの「泪月」1番最初(A)の話なのです。作品アップする順番が間違っているのは御愛嬌ってこーとーでぇ(汗)残りは2番目の(B)話だけですがこれだけが難産でぇ(汗)いつになるやーらー。てゆうか戦闘シーンとか書くにはやはりいい加減にそろそろゲームの方もやっておくべきですな(汗)いやーやりたいんだけどねぇ・・・元々ゲーマーなので寝食忘れてハマリそうなのが怖いのよね。(苦笑)シレンとかファイアーエムブレムとかもー余裕で×××時間超えですからね(汗)私はハマルと一直線なもので(汗)アワワ・・ちなみに。タイトルは柴咲コウ(RUI)の歌「泪月」から。これ結構シオネ×祇園絡めた瀬戸壬生チックで大好きなのですよvvv暁も待てぬ想い 現には逢うよしもなくとか生まれかわれません あなたがいないからとかかなり瀬戸壬生萌(笑・妄想ですがね)

結構前に書いたんでヘボ作ですが感想とか頂けるとメチャ嬉しいですのでどぞツッ込んでやって下さいませ。(笑)