Happy Birthday

BY.櫻

 

壬生屋の自宅で、瀬戸口と壬生屋とののみの3人はコタツに入って和んでいた。

今夜は壬生屋の父が不在なので心配したののみが泊まりに来たのだが、何故か瀬戸口迄着いて来ていた。

それというのも本日誕生日の瀬戸口がいかにも同情を引く様な素振りをしたからであって・・・

 

 

放課後・・

「ののみ〜!今日は隆パパ誕生日なんだけど」

「たかちゃんおめでとうなの〜!!」

「有り難うののみ!俺の誕生日を一緒に祝ってくれるか?」

と言う瀬戸口に、ののみは悲しそうな顔をして

「きょうはみおちゃんひとりだから、ののみ、みおちゃんちにとまりにいくの・・・だから、たかちゃんといっしょはむりなの・・・」

と断られ・・ガーン!!!瀬戸口はショックを受けた

ジト目で壬生屋を見つつ、ののみの前では可愛そうな隆ちゃんを演じる瀬戸口

「あ〜・・誕生日なのに家に帰って一人でコンビニ飯だなんて・・・俺って可愛そう〜可愛そうすぎる」

地面に指でののじを書きまくる瀬戸口。

その瀬戸口の落胆っぷりを哀れに思ったののみは壬生屋に涙目で訴えた

「たかちゃんかわいそうなの・・・みおちゃん。たかちゃんもいっしょじゃだめですか?」

と涙目でののみにお願いされれば壬生屋が可愛い子供の願い断れる筈もなく

「晩ご飯でしたら別に瀬戸口君も一緒で構いませんよ。誕生日なのでしょう?ののみさんと二人でお祝いして差し上げますね」

「有り難う壬生屋。ののみ」

瀬戸口は嬉しそうに微笑んだ。後ろ手にピースをしながら。

 

 

 

 

あれから数刻―。

ささやかながらも瀬戸口の誕生日の祝いを兼ねてご飯を食べ、風呂に入りそして今はコタツでのんびりしていたのだが、壬生屋はさっきから眉間に皺を寄せて終始無言だ。

それというのも壬生屋は瀬戸口に抱っこされる感じでコタツに入っていたからであった。

当たり前の様に壬生屋の背後からコタツに入りののみと何事もなかったかの様に談笑している瀬戸口に壬生屋は動揺して固まってしまっていた。

所で二人の関係は・・・と言うと、瀬戸口と壬生屋は友達以上恋人未満という関係で、

新井木から言わせて貰えば「え〜?二人付きあっているんじゃないの?」と思わせる位に周囲からは公認だったのだが。

引っ付きそうで引っ付かない二人に、周りはもどかしく傍観していたのだが、当人達はついこの間まで犬猿の仲だったのでお互いに素直になれずにいた。

 

「はぁ〜温かいなぁ〜」

こたつに入って瀬戸口は幸せそうに呟いた。腕の中には居心地悪そうに体育座りの壬生屋がいて

「あのぅ・・・瀬戸口君・・・・」

何か言いたげな壬生屋を無視して瀬戸口は続ける。

「やっぱり春といってもまだまだコタツがいいよな。なぁ、ののみ!」

と、ののみに微笑む。

「うん!たかちゃん!おこたはあったかいねぇ〜」

「よしよし。ちゃんと暖まるんだぞ?4月とはいえ夜はまだ寒いからなぁ〜」

「うんっ!」

 

「・・・瀬戸口君。」

「なんだ?壬生屋。」

「どうして・・・その・・・」

「お前さんがいいって言うから来てやったんだぞ?」

「みおちゃんとめてくれてありがとうなの〜」

「え・・ええ。ののみさんはいいんですよ。瀬戸口君、確かにわたくしは貴方も自宅に招待はしましたが・・・それは晩御飯だけで・・・」

「なら何も問題ないだろう?」

 

「おお有りですっ!!!ちっ・・父も不在の時に・・・殿方が泊まるだなんて・・・」

「何が?だからこそ俺がお前さん家の番人として来たんじゃないか!」

「番人って・・・こんな事するのが番人ですかっ!」

「ん?俺寒がりだからいいだろう?お前さんを湯たんぽがわりにしたって」

「なっ・・・どうしてわたくしが貴方の湯たんぽにならなくてはならないのですかッ!いい加減に離して下さい!」

「嫌だね。俺寒がりなの。コタツだけだと物足りなくてな♪人肌恋しいんだから仕方ないだろう?」

「仕方ないってそんな・・・じゃあ!わたくしではなく、ののみさんを抱っこなさればいいじゃないですか!」

「はぁ?お前さん俺に犯罪者になれって言うのか?」

「犯罪者って・・・どうしてそうなるのですかっ!」

「だって俺ロリコンじゃないし〜♪」

「わたくしを抱っこするのは犯罪じゃないとでも?」

「勿論。」

大威張りで返す瀬戸口に

「はぁ〜〜〜〜・・・」

盛大に溜息をつく壬生屋。

呆れる壬生屋の袖を引っ張る感触があり、袖が引かれる方に視線を向けると、ののみが満開の笑顔で微笑んでいて

「あのね〜たかちゃんは、たんじょうびだからみおちゃんといっしょにいたいって。みおちゃんがだいすきだからはなしたくないって」

「ええっ!?///////////」

「ばっ・・・馬鹿。違うぞ!ののみ」

慌てて否定しようとする瀬戸口だったが、怒った顔のののみにズバリ

「たかちゃんウソはメーなのよ」

「う・・・」

と、ののみに指摘され口ごもる瀬戸口。

「・・・・・/////////」

「・・・・・/////////」

 

お互いに顔を赤くして顔を背ける二人。

触れ合う腕が火傷してしまいそうに熱かった。

「お・・・お前さんがどうしても嫌なら・・・や・・めるけど?」

壬生屋の表情を伺う瀬戸口

「そんなに・・い・・・嫌では・・ないですけど・・・」

頬を赤く染める壬生屋を見て微笑み、壬生屋の耳元で甘く囁く瀬戸口

「じゃあ・・・いいだろう?」

と耳元で囁かれ全身まっ赤になる壬生屋。即座に振り返り涙目で瀬戸口を睨む

「は・・・反則ですッ!!!」

「何が?」

「みっ・・みみみ・・耳元で囁かないで下さいッ!!」

顔を赤くしている壬生屋を見てニヤリとほくそ笑み瀬戸口は意地悪く囁く。

「感じた?」

「かっ・・・!!!///////////////」

壬生屋は返す言葉もなく口を金魚の様にパクパクさせて絶句した。

 

そろそろ時刻は夜10時を過ぎようとしている。それに気がついた瀬戸口は

「ののみ〜子供はもう寝る時間だぞ〜」

「はーい。たかちゃん、みおちゃんおやすみなさ〜い」

「えっ?のっ・・ののみさん!そんなっ!!後生ですから行かないで下さいッ」

必死にののみに助けを求め様とする壬生屋。

ののみはキョトンとして壬生屋を見た。

「ののみ、おうまさんにけられたくないのよ?」

「は???馬??」

「そうそう。ののみは良い子だなぁ〜人の恋路は邪魔したらメーだもんな。お休み〜ののみ」

「おやすみなの〜」

とととと・・・と客間に退散するののみ。

 

ののみがいなくなって居間に二人きりになり静寂の空気が二人を包み込む。

壬生屋は瀬戸口の腕が触れている箇所を先程よりも意識してしまう。

無言の刻が過ぎそして遂に壬生屋はいたたまれなくなって立ち上がろうとした。

「あ・・では・・瀬戸口君もコタツなら泊まっていってもいいですから・・・わたくしはこれで・・・」

「壬生屋。」

真剣な声音の瀬戸口。

壬生屋の手首を掴んで離さない

「!!!!!・・・は・・・い・・・。」

壬生屋が恐る恐る瀬戸口の方に視線を向けると紫色の優しい瞳が壬生屋を見つめ・・微笑む

「俺は今迄己の誕生日には固執はしなかった・・・でもお前さんと出会ってから・・・変わったんだ」

「え・・・?」

「今日は祝ってくれて有り難う。お前さん達二人に誕生日祝って貰うのが今迄で一番嬉しかった」

「晩ご飯位しか・・していませんのに・・瀬戸口君が喜んでくださって良かったです・・・」

穏やかに微笑み返す壬生屋を優しい眼差しで見つめる瀬戸口。

「だから・・・ここからは俺の我が侭だから・・・」

「はい?」

「俺の事が嫌いなら・・・逃げてもいいから」

そう良いながら瀬戸口は、くいっ・・・と手首を引き壬生屋を抱き寄せる

「え・・ちょっ・・なっ・・・んんっ・・・」

近づいてくる瀬戸口の秀麗な顔に視線が釘付けにされ躊躇してる間に柔らかな唇が壬生屋の唇を奪い

瀬戸口に畳に押し倒された壬生屋は瀬戸口のキスに翻弄された。

暫くしてキスから開放された壬生屋は息も荒く咎める様な口調で瀬戸口を責める

「酷い・・・抵抗すら出来ないじゃないですか・・」

「ん?そう?」

「ズルイ人・・・」

「俺は・・・ズルイ男だ。俺の誕生日に・・・お前さんに俺の事を『好き』って言わせたくて・・・」

「瀬戸口君・・・」

「壬生屋・・・」

お互いに引力に引き寄せられるかの様に唇が近づいていって・・・・そして・・

 

ぽて。

瀬戸口のポケットから何かがすべり落ちた!

 

 

何気なく視界の隅に落ちた四角いビニールを拾い上げる壬生屋。

その壬生屋のほんのり赤かった頬がふるふる震えて真っ赤になり

「ふっ・・ふふふふふ・・不潔でーーーーーーーーーーす!!!!!!!!!!!!!」

パーーーーーーーーーーーン!!!!

壬生屋は、瀬戸口に張り手をかませ脱兎の如くコタツから逃げ出してしまった。

「ヤレヤレ・・・お姫樣はウブだから困ったもんだな・・・」

己の失態に小さな溜息をつく瀬戸口だったが。

「ま。俺はお前さんを諦めるつもりはないからな。・・・少しずつ・・な♪」

ニタリ。瀬戸口は意地悪い笑みを浮かべた。

 

 

 

 

朝ののみが起きると

昨日より『少し』仲よくなった瀬戸口と壬生屋が台所にいて、朝から何やら喧嘩をしている(笑)

「お前さんなぁ〜もーちょっとその・・俺の気持ちもだなぁ〜」

「告白も無しに夜這いなんてされる殿方と話す事なんてありませんっ!!!」

「ば・・馬鹿!それはお前さんだから・・その・・言わなかった俺も卑怯だが・・好きなんだお前さんの事・・だからその・・・」

壬生屋の腰を抱き寄せる瀬戸口。困った顔で瀬戸口を見つめた壬生屋は

「せ・・・瀬戸口君・・・こ・・こんな所で何を・・」

 

鼻先が当たるか当たらないかの所で、甘い雰囲気の台所にののみ乱入(笑)

「おはようございますなの!たかちゃん。みおちゃん」

「キャッ!の・・ののみさんお早う御座います」

驚く壬生屋お玉を落としかける。慌てて離れる瀬戸口。

「嗚呼。ののみ、お早う!よく眠れたか?」

「なんだか・・よなか、さわがしかったの・・・」

『ギクリ!!』(瀬戸口&壬生屋)

「ハハハッ(滝汗)誰だろうなぁ夜中に騒ぐ様なそんな馬鹿は」

「そのお馬鹿さんはどこのどなた樣でしょうねぇ?」

嫌味たらたらで瀬戸口を見る壬生屋に、背中に冷や汗を垂らしつつ視線を明後日に向ける瀬戸口

そんな二人を見ていたののみが瀬戸口の顔に手の跡がくっきり付いている事に気がついた!

「たかちゃん、おかおどーしたの?あかくなってるのよ?」

「ははははっ…これはなーののみ。愛情表現って奴だな☆」

「天罰ですっ!」

 

 

その晩瀬戸口が壬生屋に夜這いをかけて返り討ちにあったとか、夜這いが成功したかどうかはは本人達のみぞ知る。

 

End.

作品紹介・・・つか言い訳チック

ヘボ作19作目は瀬戸口の誕生日SSで御座います。本当は瀬戸口の誕生日物ではない作品だったので辻褄合ってない気がしないでもないですが(滝汗)まぁ4月の頭は熊本でも結構寒かったんでまぁよろしいかと(笑)とにかく誕生日なのでやりたい放題な瀬戸口君です(笑)※四角いブツが此の世界に必要かどうかはスルーして下さい(笑)夜這いが成功したかどうかは彼の顔みりゃ分かるかなーと(笑)

とまぁオフでは今年は念願の壬生屋と瀬戸口の誕生日を花岡山で祝おう計画も成功し、サイトの再開も瀬戸誕に合わせ万万歳だった筈がお祝いこんな遅くなってしまいました(滝汗)ご免ね瀬戸口v愛だけは…愛だけは大盛りどんぶりなんでぇええええ〜(*´∇`*) 花岡山には来年からはあんま行けないけど又機会があれば行きたいと思いますv

では。改めて。これからも末長く貴方が幸せでありますように。

瀬戸口誕生日おめでとう〜vvv