鬼ごっこ

BY.櫻

 

 

「お待ちなさーーーーーーい!」

胴衣姿の和風な風合いの少女が木刀を持って誰かを追いかけている

「嫌〜なこった!」

そしてその少女から逃げる様に赤味がかった茶髪の白い制服姿の長身の青年が校庭を逃げ回っている。

勿論、壬生屋と瀬戸口だ。

 

毎日飽きる事もなく続く5121小隊の名物にもなりつつある瀬戸口と壬生屋の追いかけっこ。

日課の様に今日も瀬戸口は壬生屋に追いかけられていた。

 

本日の瀬戸口と壬生屋の喧嘩の原因は・・・というと。

瀬戸口が速水の首に抱きついて速水の耳朶にキスをした

・・・という本当にくだらない阿呆らしい内容で

いつもの馬鹿らしい出来事に、クラスメイトは我関せずを決め込み

速水の恋人である芝村舞は瀬戸口の行動に呆れ渋い顔をし見なかった亊にしたのだが…

しかし!いつもの如く

クラスメイトの超潔癖少女の壬生屋はそんな瀬戸口を見て、

「不潔ですっ!!」

と顔を真っ赤にして叫び

押し問答の末に結局壬生屋に追いかけられる事態になる瀬戸口。

何やら瀬戸口が壬生屋を嗾けている風でもあるのだが

好意があるからなのか、只からかっているだけなのか

・・・真意は未だ不明。

 

初めは皆で喧嘩する?二人を止めようともしたのだが、

5121小隊のアイドル的存在の、東原ののみ曰く

 

「たかちゃんは、ほんとうははみおちゃんに、つかまりたいのにすなおじゃないのよ」

 

だそうだから。仲裁放置決定。

クラスメイトの面々は半ば呆れながらも

最近はいつも二人を生温かく見守っているのであった。

二人ともいい加減に素直になればいいのにね・・・

と、周りのクラスメイトは皆そう思っていた。

 

 

ふと

気がつくといつの間にか二人は勢い余って学校の外迄追っかけっこを続けていた。

瀬戸口が学校の外迄は流石に壬生屋も追いかけてこないだろうと甘く踏んでの判断ミス。

しかし予想外に壬生屋は学校の外迄追いかけて来た。息を切らせながら。

これには瀬戸口も困った。

瀬戸口が本気で走ればパイロットで体力があるとはいえ、女である壬生屋を撒く事は簡単な筈なのだが・・・・・

そうしない所を見ると瀬戸口はこの鬼ごっこを楽しんでいる様だ。

 

走りながら瀬戸口は壬生屋に振り向きながら

「なぁ〜壬生屋!不潔ってゆーがなぁ、あんなのは別に不潔じゃないだろうが?」

笑いながら壬生屋に問い掛けると、壬生屋はキッと眉を吊り上げて

「いーえ!不潔ですっ!殿方同士で抱擁など!その上耳にキ・・接吻などと破廉恥ですッ!変態ですッ!」

 

「そーかぁ?・・・一種の愛情表現なんだがなぁ・・・」

速水をからかうと必ずと言っていいほど壬生屋が自分に絡んでくるのが楽しいからやってるとは口が裂けても言えない瀬戸口だった(笑)

「だからッ!どーして殿方同士なのですかっ!!!不潔ですっ!不潔ですっ!」

瀬戸口は壬生屋の怒った顔を見て

ふむ・・・。と、いきなり考え込んで立ち止まった。

いきなりの瀬戸口の行動に壬生屋は対処しきれず瀬戸口の背中に、したたかに顔をぶつける

走っていた勢いもあったから相当痛かったのだろう壬生屋は鼻を押えて呻いている

「つ・・・・・・いッ・・いきなりッ・・何を!?はっ・・ぜー・・・はーぜー。」

全速力で走っていたので息が上がっている壬生屋。息も絶え絶えだ。

瀬戸口の方は呼吸も普通だし落ち着いている。

オペレーターのくせにパイロットの壬生屋より体力があり余っている様だ。

 

瀬戸口は肩で息をしている壬生屋の顔をじーっと見つめてから

「不潔ってゆーのはな・・・」

小悪魔的な笑みを顔に浮かべる瀬戸口。

「は?」

不穏な空気を察知して壬生屋は眉をひそめた

「こーゆう事を言うんだよお嬢さん♪」

そう言うと瀬戸口は壬生屋に手を伸ばした

「えっ?」

咄嗟の亊に何も反応出来ない壬生屋!

瀬戸口は壬生屋の細い引き締まった腰に左手を回し抱き寄せ

壬生屋の顎に手をかけて上を向かせ…

瀬戸口の顔がどんどん近づいて・・・

瀬戸口は壬生屋に接吻ていた

壬生屋はあまりの精神的ショックに蒼い瞳を大きく見開いて固まっている。

瀬戸口はかなり長い時間壬生屋の口内を味わってから壬生屋の唇を解放した。

勿論抱きしめたままで。

 

「その・・・分かってくれたかな?俺の・・・気持ち・・・」

壬生屋の耳元で囁く。

瀬戸口にしてみれば一大決心の告白のつもりだったのか・・・ほのかに頬が赤い

硬直している壬生屋の身体からそっと腕を離し

頭を掻き照れながら壬生屋を見つめる

 

かくいう告白された方の壬生屋は瀬戸口に接吻された後下に俯いてしまい表情が全く読めない

暫くすると

「・・・・・・・・よぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っく分かりました。」

やけにドスの効いた低音の壬生屋の声

てっきり壬生屋が自分の想いを分かってくれたのだと勘違いし

ぱぁああっ!と明るくなる瀬戸口の顔。

 

「そうか!なら!俺とつ・・・・」

付きあってくれ!という瀬戸口の告白は壬生屋の叫びによってうち消されてしまった

 

「貴方は女性の・・・イエッ!人類の敵ですッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

真っ赤な顔をして涙目の壬生屋は怒り心頭の御様子

「は?人類???」

意味が分からずポカーンとした顔の瀬戸口

 

「幻獣以上の諸悪の根源ですッ!そこにおなおりなさいッ

この鬼しばきの錆にして差し上げますッ!」

木刀をほうり投げ、そしてどこから取りだしたのか鬼しばきを構える壬生屋。

そして目に止まらぬ早さでシャキーンと瀬戸口の頭上に振り降ろされる白刃の光

「うわーーーーーーーーっ!!!」

紙一重で躱す瀬戸口

「壬生屋!お前全然人の話聞いていないし俺が言った意味分かってないじゃないか!」

「問答・・・無用〜〜〜〜〜〜!!!!!!!」

真っ赤な顔で眉を吊り上げ鬼しばきを振り回し瀬戸口を追いかける壬生屋

瀬戸口はまた逃げ始めた。

 

永遠に終りのない瀬戸口と壬生屋の鬼ごっこが始まった

でも、鬼(俺)はすでに魂の欠片ですらも壬生屋につかまっているけれどな(笑)

鬼が既につかまってる上に鬼が逃げてる鬼ごっこなんて変なものだが・・・

「ははっ・・」

瀬戸口は壬生屋から逃げながら笑っていた。

満面の笑みで。倖せそうに。

そして壬生屋も又・・・。

作品紹介・・・つか言い訳チック

瀬戸壬生SS第2弾〜!です。ヘボいのは御愛嬌ちゅー亊で。途中迄書いてたやつなので(滝汗)原稿さぼって書いたんじゃありませーん!。(言い訳臭い)勢いで書いたもんなので、後でコソコソ修正するやも(滝汗)ドラマCDとかで瀬戸口が壬生屋に追っかけられてるのが楽しそうなんで書きました(笑)瀬戸壬生だとどーもダーク系連想してしまうので、たまにはこーゆうのもいいかなと。ほのぼので(笑)甘いお話が書けないのは、昔クソ甘SSばっか書いてた反動かも???(笑)いや多分瀬戸口の名前の…ゲホガホ・・・ヘボ作ですが感想とか頂けるとメチャ嬉しいですのでどぞツッ込んでやって下さいませ。

※ブラウザでお戻り下さい