My Sweet lover

 

by.櫻

 

 

俺は愛の伝道師こと瀬戸口隆之。美少年だ。

今・・・俺は・・・ある女性に恋をしている。

それも・・・同じ5121小隊の仲間の一人

特攻天女こと 壬生屋未央嬢に・・・。

 

そして。

明日は彼女の誕生日だ。

その日俺は壬生屋に愛の告白をしょうと思っている。

実は1ケ月前からこの日の為に色々手を回していて・・・

俺の思いが彼女に通じれば、その日は二人にとって劇的な1日になる筈だった。

え?もしも明日幻獣が現れたらって?残念ながらそれは心配ないな。

勿論昨日の夜幻獣共を完膚無きまでに叩きのめしてきたので、2〜3日位は出撃が絶対にない自信もある。

赤い薔薇の花束も陳情済だし!

壬生屋が欲しがっていたらしいイヤリング(加藤情報/情報料を1,000円取られたが・・・)も市内の下通りの宝石店で入手済みだ!

明日言うセリフだって授業さぼってトイレで猛特訓したお陰で一字一句暗記済だ!

「ぬかりはないんだよ。おっさん!準備万全さ!」

と、瀬戸口が鼻息荒く足元にいる猫のブータに話しかけると、

「そうか・・・ならば良いが・・・」

ブータは微笑みながら古バルカラル語で返事をしながら髭をぷるると震わせた。

この、おっさん事、猫のブータと俺は1000年以上の付き合いで・・・

え?猫や人間が1000年も生きる訳ないって?

実はブータはブータニアス・ヌマ・ブフリコラといって、これでも猫神なんだ。

「これでもは余計じゃ!キッド!」

ブータは怒って尻尾をパタパタさせながら立ち去ってしまった。

キッドは俺に対しての愛称で、俺の本当の名は祇園童子という名の鬼なのだが・・・

1000年もの間俺は精神寄生で人の身体を移り歩いてて・・・それでまぁ〜なりゆきで現在は瀬戸口隆之という人間としてこの世に存在している。

おっさんの猫神というのは・・・まぁそれは今度説明するが。とにかく偉い神様なんだ。

 

しかし・・・

その昔悪鬼と恐れられた祇園童子ともあろうこの俺が、人間の女一人に振り回されている・・・

って聞けば、情けない気がしないでもないが。でも俺は本気だ。

壬生屋が俺が愛する女神シオネの生まれ変わりだから惹かれたのではなく・・・まぁそれも含めて

彼女が壬生屋未央だから・・・俺は惚れたんだ。

その・・・愛・・しているんだ。壬生屋を。

俺だけを見て欲しいし、俺だけに微笑んで欲しい、勿論他の誰にも渡したくない。

でもアイツが俺のこの複雑な気持ちを知る筈もないし、いつも喧嘩ばかりしてるので、アイツは俺の事を只の喧嘩友達としか見ていないかもしれないが・・・。

瀬戸口がぼーっと空を見ながら明日の事を考え幸せ気分でいた・・・・ら?

 

「瀬戸口君!」

いきなり背後からその意中の当人の声がして酷く狼狽える瀬戸口

「ん?うわっ!壬生屋!な・・・何故此処に!?」

瀬戸口の大袈裟な慌てぶりに訝しげに眉をひそめる壬生屋

「?わたくしが屋上に来てはいけないのですか?」

「そういう意味じゃないが・・・。なんだ?俺に何か用か?」

瀬戸口が壬生屋を見上げると

「別に・・・」

顔をプイと背けたままで、何故かストンと瀬戸口の隣に座る壬生屋

「???」

瀬戸口が訝しげに壬生屋を見つめたまま沈黙が流れた・・・。

 

暫くして・・・

独り言の様にぽつりぽつりと壬生屋は話し出した。

「瀬戸口君・・・わたくし・・・明日誕生日で・・・17歳になるんです・・・」

「そ・・・そうか。知らなかったよ・・・」

知ってて、しらばっくれた瀬戸口であったが、壬生屋の真意が分からずに

何故こいつは“今”そんな事を俺に言うんだ?もしかして俺の明日の計画を知って?

イヤまさかそんな筈は・・・と脳内グルグル二十日鼠状態。

 

「それで・・・もし・・わたくしが・・」

何やら瀬戸口の横で、頬を赤く染めてもじもじしている壬生屋

「?」(なんだ?)

「行き遅れたら・・・」

「???」(なんか・・壬生屋の顔赤くないか?)

「わたくしを・・・貰って下さいませんか?」

「へ???」(いっ・・・今何て言った?)

「その・・・自爆ですっ・・・」

壬生屋は顔を赤くして両手で顔を覆った。

 

・・・もしかして・・・俺は今、壬生屋に告られてるんじゃあ?

なぁんだ壬生屋も俺の事好きだったのかvvv・・・・・・

と、幸せ気分に浸る瀬戸口だったが、ふと我に返り

 

ハッ!

オイオイオイ!ちょっと待て!俺の計画予定は明日だぞ!

今告白されたら明日のプランが・・・今迄の数ケ月の苦労が全て水の泡じゃないか!?

そう思ったら瀬戸口は思わず立ち上がって壬生屋に叫んでしまっていた。

「ば・・・馬鹿野郎!!!!」

「はい?」

理由も分からず瀬戸口に怒鳴られ呆然とする壬生屋。

「お前さん俺が・・明日のプランを何ケ月も前から・・・」

瀬戸口が苦渋の顔で拳を握りしめる

「???」

「あーもういい!」

瀬戸口は投げやりに言い放ち頭を掻き毟って座り込んだ。

そんな瀬戸口の突慳貪な態度に嫌われたと勘違いした壬生屋は

「なっ・・・何を怒っていらっしゃるんですか!そ・・・そんなにわたくしの事がお嫌いなんですか!!!」

うるる・・と涙ぐむ。壬生屋の涙にギョッとする瀬戸口。

「あ〜もぅ馬鹿っ!泣くなよ!好きなんだからッ!」

慌てて宥める様に言う瀬戸口に逆上しかける壬生屋。

「馬鹿って!!!酷い・・・・え?・・好き???ええっ???」

ようやく壬生屋は途中で瀬戸口の言った事に気がつき激しく動揺する。

「好ーきーなーの。お前さんの事が!」

真っ赤になって赤味がかった髪の毛をグシャと掻き回しながら壬生屋から照れた様に視線を反らす瀬戸口

「・・・・嘘。」

壬生屋は顔を真っ赤にして口を手で押えている。

己が瀬戸口に好かれているなんて思いもしなかったので玉砕覚悟だったのだ。

「本当だ。」

真剣な瞳で壬生屋を見つめる。

「だ・・・だって・・・わたくし達いつも喧嘩してばかりで・・」

「それはお互い様だろう?・・・全く・・俺は明日お前さんの誕生日に告白しょうと思ってたのに・・・せっかちだな〜お前さんは」

瀬戸口が苦笑いしながら壬生屋を優しく見つめると・・・

「で・・・では明日又伺います!失礼しましたッ!」

真っ赤になって逃げ出そうとする壬生屋の細い腕を掴む瀬戸口。

「待て壬生屋。行くな・・・行かないでくれ。・・・スマン・・・言い訳だ。言うのはいつでも良かったんだ。」

「瀬戸口君・・・」

「ただ・・・口実が欲しかっただけで・・・壬生屋。」

壬生屋の肩をがしっと掴み正面に向かい合う瀬戸口。頬を赤く染める壬生屋。

「は・・・はい・・・。」

「俺は・・・お前さんの事が好きだ・・・。お前さんは?」

優しく壬生屋を見つめる紫苑の瞳

「わ・・わたくしは・・・ずっと・・・貴方をお慕いしていましたから・・・」

壬生屋が恥ずかしそうに俯いて答えるのを見て、嬉しそうに破顔する瀬戸口。

「そうか!じゃあ・・・決まりだな!」

「???」

戸惑う壬生屋を尻目に瀬戸口は徐に懐から携帯を取りだすとどこかに連絡を取る。

「明日予約している瀬戸口です。スイマセン予約は今日に変更出来ますか?はい・・・はい。ご迷惑おかけします。はい。お願いします。」

瀬戸口が話し終わって携帯を懐にしまうと

「さて・・・と  壬生屋。行くぞ!」

壬生屋に手を差し伸べる瀬戸口

「え?ど・・どちらへ?」

壬生屋は瀬戸口の手にそっと手を添えると、瀬戸口が小声で囁く

「ホテル」

「ええっ?ホテル!??ふっ・・・不潔ですっ!!!」

ホテルと聞いて咄嗟に不潔な想像をする壬生屋。つられて照れる瀬戸口。

「馬鹿。ラブホテルじゃないぞ。ちゃんとしたホテルなんだから」

(しかし・・・普通のホテルだが本当は初めから、あわよくば壬生屋とお泊まり予定の下心全開の瀬戸口(笑)勿論部屋も最上階のSWEETをキープ済)

「そ・・そうですよね・・わたくしったら・・・」

「明日のディナーの予約を今日にしてもらった。晩飯食べに行こう」

「晩ご飯ですか?ええ・・・それは・・構いませんけど。」

壬生屋が嬉しそうに微笑むのを見て、(建前上)ご飯だけの予定を脳内で完璧にお泊まりコースに進路修正する瀬戸口。

・・・お互い思い合ってるなら話しは早いよな♪・・・と、そう考え

壬生屋の手を取り徐に手の甲に口付けた

「きゃっ!」

瀬戸口にいきなり手の甲にキスをされて、驚く壬生屋。

「今日はお前さんを家に帰さないから。覚悟しておけよ?」

瀬戸口は嬉しそうに壬生屋を見つめる。

「ええっ??かっ・・・帰さない???って」

壬生屋がおっかなびっくり瀬戸口に尋ねると、瀬戸口は艶のある眼差しで壬生屋を見つめ

「お前さんの誕生日の“瞬間”を二人きりで祝いたいんだ。」

瀬戸口のその台詞に壬生屋がぴくり!と固まった。

「瞬間・・って・・夜中の12時ですか?で・・でもっ・・・夜は・・その・・・二人きり・・で?・・・」

「勿論そうだ。俺と“朝迄”二人きりvvv」

わざと壬生屋の耳元で甘く囁く瀬戸口。

瀬戸口の吐息が首に掛かり激しく動揺する壬生屋。

かぁああああああっと全身が朱に染まる。

「壬生屋?」

「わっ・・・わたくし、今日は用事が・・・その・・・」

咄嗟に口実を作って逃げようとする壬生屋に

「逃げるのか?」

と追い打ちをかける瀬戸口

「いえ・・・そんな事は・・」

オロオロしている壬生屋を見て瀬戸口笑いを堪えている。動揺している壬生屋が愛おしくてたまらないといった感じだ。

「俺に抱かれるのは嫌?」

「だっ・・・・○☆*※▽□!!!」

声にならない悲鳴を上げ真っ赤になる壬生屋

「お前さんの身も心も“俺のもの”にしたいんだvvv」

「ふ・・・不潔です!!!・・」

「俺とそうゆう関係にはなりたくはない?・・・」

壬生屋の髪の毛を一房掴み口付ける。

「そ・・・そんな事急におっしゃられても・・・」

壬生屋は視線を泳がせた。

「ずっと言いたかったんだ。今迄言う勇気はなかったが。これでも緊張しているんだぞ?ホラ」

瀬戸口は壬生屋の手を震える手で包み込む様に両手で握って己の胸に引き寄せた

瀬戸口の心臓は早鐘の様に早く、震える指先から動揺が伝わって壬生屋は少し安心する。

「瀬戸口君・・・こんなに震えて・・・ふふっ・・・可愛い」

壬生屋がふふっと笑うと、

「ばっ馬鹿!これでも俺は本当に好きな女性に対しては純情なんだ!」

瀬戸口は顔を赤くして訴える

「純情な方はそんな不潔な事は言いません!」

壬生屋は緊張が少し取れたのか微笑んだ。

「お前さんは俺と・・・その・・・キスとか不潔な事するのはイヤか?」

瀬戸口が壬生屋の瞳を覗き込む

「え・・・」

至近距離で紫苑の瞳で射貫かれ、しどろもどろになる壬生屋。

「イヤ?」

「イヤ・・・じゃあ・・ないです・・・けど。」

「じゃあ・・・キス・・・してもいいか?」

瀬戸口の指が壬生屋の顎にかかり

「え?あっ・・・・待・・」

壬生屋の制止の声を待たずに

ちゅ・・・

瀬戸口は壬生屋の薄紅色の唇にそっと接吻た

途端にボンッと茹で上がる壬生屋

キスをしても嫌がらない壬生屋に調子に乗る瀬戸口。

「ええとその・・・抱きしめても・・・いいかな?」

「!!!・・・・。」

こくり。と、消え入る様な肯定の首の頷きを見て、瀬戸口は初心な壬生屋を可愛いなぁ〜たまらんなぁ〜vとか思いながら

カチコチに身を固くしている壬生屋をふんわりと優しく抱きしめる

「力を抜けよ・・・そう力むな」

「む・・・無理ですっ・・・」

己の胸板に当たる壬生屋のふくよかな胸の感触に

「ん〜お前さん・・・意外に胸あるよな・・・」

と瀬戸口は呟いた。それを聞いた壬生屋

「なっ!!!!!」

恥ずかしさの余り慌てて離れ様としたが

瀬戸口にぎゅむ〜と更に抱きしめられてしまい身動きが取れなくなる。

「お前さんっていい匂いがするなぁ〜vvvん〜〜〜たまらんな〜vvv」

「やっつ・・離して・・・」

ジタバタと瀬戸口の腕の中で暴れる壬生屋。

「ん〜〜〜vvv時間はまだあるか・・・・・決めた!」

「はい???」

「今すぐお前さんを抱きたい♪」

瀬戸口のとんでもない爆弾発言に焦る壬生屋

「え?・・・・・・・・・・・ええええええっ!?」

「と。言うわけでお前さんは詰所と倉庫と俺のアパート・・・どこで抱かれたい?」

「な!!!!!!どこもイヤですぅうう〜〜〜〜〜〜ま・・・まだ・・・ホテルの方が・・」

と洩らす壬生屋の呟きに、ニヤリ。と厭らしい笑みを浮かべる瀬戸口。

「じゃあホテルへ・・・行ってからなvvvv」

誘導尋問の様な思わぬ展開に唖然とする壬生屋。

「・・・ひどい・・・・・・意地悪/////・・・」

顔を朱に染めて頬を膨らませて拗ねる壬生屋。

「知らなかった?俺、好きな子苛めるの好きなんだよな♪」

「ふっ・・不潔ですッ!!!」

壬生屋を更に抱き寄せ耳元で囁く瀬戸口

「不潔な事を二人でホテルで沢山しょうな?」

これ以上はない位茹で上がる壬生屋。顔で湯が沸かせそうだ(笑)

「しっ・・・知りません!!!。」

「愛しているよ・・・壬生屋」

瀬戸口は幸せそうに壬生屋を抱きしめた。

 

 

 

 

そ・し・てvvv

深夜熊本市内の某ホテルのとある一室で・・・

「も・・もぅ・・わたくしには無理ですぅう〜!!!!」

と半泣きで瀬戸口から逃げようとしている壬生屋。もちろん一糸纏わぬ悩ましい姿である。

「まだまだだ・・・来いよ・・・」

妖艶に微笑みながら喜々として壬生屋の腰を掴んで再びベッドの中にひきずり込む瀬戸口。

壬生屋の姿は、まるで蟻地獄に捕まった蟻か蜘蛛の巣に引掛った蝶の様だ。(笑)

「まだって…もう何度目だと!!!!!」

壬生屋が泣きながら怒って瀬戸口に文句を言いかけたが、壬生屋に覆いかぶさった瀬戸口のキスの雨が降る。

「ん〜〜vvvまだ×100 愛し足りない♪未央愛してるよ〜vvv」

「もう駄目ですってば〜〜〜〜〜〜あぁんっv」

 

 

その日瀬戸口と壬生屋の二人はめでたく恋人同士になりました♪ 

 

 

happy birthday mio!my sweet lover.

from takayuki

 

 

end.